仕事を辞めて2014年に個人事業主として開業。なぜフリーランスで合唱指揮の活動をしているのか

 はじめに

ぼくは合唱指揮者です。指揮者といっても、みなさんが想像されるような、燕尾服を着て、音楽ホールでクラシックを演奏、というイメージではないです。

私服でキーボードを片手に、地域やコミュニティに自ら出向き、場所にとらわれずに合唱の演奏をしています。

また、そこで生活される方々と一緒に練習&本番を体験することで、合唱による世代間交流、合唱による多文化共生、合唱による職場内コミュニケーション、そういう取り組みをしています。

ワークショップ

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保育園で子ども達と一緒に演奏(大阪市生野区)
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商業施設で小学生と一緒に演奏(大阪府守口市)
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駅前で中学生と一緒に演奏(京都市山科区)

アウトリーチ

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高齢者施設で演奏(京都市山科区)
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区役所のロビーで演奏(大阪市生野区)
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病院のロビーで演奏(京都府宇治市)
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道の駅で演奏(京都府亀岡市)

 なぜしているのか

今から12年前、大学1回生の時に、たまたま偶然、「なんか楽しそうだな」という軽い気持ちで大学合唱団に入団しました。大学2回生から学生指揮者になり、指揮する楽しさ、合唱団と一緒に練習をして本番の舞台に立つ幸せを感じていました。

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当時の様子です

大学卒業後も、大学の同回生・後輩と一緒に一般合唱団を作って、休日にサークル活動として取り組んでいました。その合唱団自体は今年で7年目です。

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現在の合唱団の様子

ギャレス・マローンに刺激を受ける

最初に観たのがいつだったか忘れてしまいましたが、おそらく5年程前に、NHKのBSで合唱のドキュメンタリーを観ました。

イギリスの若い指揮者ギャレス・マローンが、活気が無くなっていた労働者の町・サウスオキシーを訪れて、まちの人達に呼びかけて合唱団を結成。合唱を通して、住民たちがささやかな楽しみと交流の場を見つけて、町への愛着を高めていく、というBBCのドキュメンタリー番組でした。

ギャレスの行動する姿を見て感動するとともに、合唱の新たな可能性を感じました。

つまり、練習で緻密に演奏レベルを高めてコンクールに出て入賞を目指す。あるいは、定期的に演奏会を開催して発表をする。もちろん、それらの活動も素晴らしい。でも、それ以外の合唱活動の方向性もある。

合唱には性別・国籍・年齢・上下関係の壁を超える力があります。ギャレスのように合唱の力によって、地域やコミュニティの活性化をしていきたい、そんなことを思いました。

 事例

2014年に仕事を辞めて個人事業主として開業。これまでにやってきたことを3つ紹介します。

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2014.10.26 「合唱を通じた地域における世代間交流」(コーラスコミュニティプロジェクト)を京都市東部文化会館で実施

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2015.03.22  大阪市人権啓発・相談センター主催『共生音楽フェス』で合唱指導・指揮

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2016.02.28 ⇒ 生野区役所『大人のための音楽ワークショップ&子どものための歌のワークショップ⇒みんなで発表』を実施

 していきたいこと

2016年は【商店街で合唱団を作ろう】のプロジェクトを実施しています。

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商店街で働く方々を集めて合唱団を結成。一緒に練習を重ねて本番の舞台をすることで、人々の繋がりをさらに深めます。また、その様子をドキュメンタリー映像に収めることで、商店街のエネルギーを広く国内外に発信します。

★ 音楽面・・・商店街で働く方々に声をかけて、練習に参加してもらう。練習は3回実施。練習は6月に1回。7月に2回。本番は夏休みを予定。曲は『世界に一つだけの花』を予定。楽器伴奏を、生野区に住む方々で行う(ギター・ドラムなど)。本番は商店街内で行う。商店街を普段利用されているお客様をご招待して演奏する。

★ 映像面・・・プロジェクトの一部始終を撮影。編集してドキュメンタリー作品にする。YouTubeに公開することで、国内外に発信する。練習風景を撮影するだけでなく、個人やお店で働く様子にもスポットを充てることで、「商店街で働く方々」そのものも発信する。

 おわりに

合唱は、人間の身体という楽器を使って、声によって生み出される芸術です。歌は健康に良いのはもちろん、音楽にのせて喜怒哀楽を発露させたり、自己の内なる気づきを深めたりします。

また、合唱は、多様な価値観を持つ人々が集う、コミュニティ活動でもあります。声の大きい人も小さい人も、男性も女性も、大人も子どもも、皆がお互いを認め合い、助け合って声を合わせる、という点に合唱の良さがあります。

デジタル化が進み、インターネットの発達によって、何処でも誰とでも繋がることが出来る今の時代だからこそ、一つの場に集い合い、人間の声というアナログな楽器で歌い合う『合唱の可能性』を、仲間と共に、聴衆と共に、地域の方々と共に、探究し続けていきたいと考えています。

投稿者:

橋爪大輔

1985年生まれ