生活圏内で面白い人たちが繋がる暮らし | 広島県のNPO法人 尾道空き家再生プロジェクトの視察に行ってきました

生野区の空き家活用に役立てたいという想いで、有志5人で広島県尾道市に行ってきました。

参考記事:橋爪家は生野区で空き家を探します。そして、職と住が一体化した『生野暮らし』を目指します

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写真は視察前に立ち寄った鞆の浦

駅チカなのに空き家が点在

広島県尾道市の山手地区は、小津安二郎の『東京物語』などで有名な古い町の風情を残した地方都市です。そんな尾道は駅から二キロ圏内に500件もの空き家が点在している、と言います。

坂の上の物件は改修費用が平地の数倍かかり、現行の建築基準法では、車道に接していない土地には新築を立てることも不可能です。高度経済成長期以降、若い世代が次々に都会へ出ていき、現在も空き家は増え続けているそうです。

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三重塔は尾道のシンボル的存在

一人のパワフルな女性

尾道は今、空き家問題に一石を投じる地域として注目を集めています。豊田雅子代表率いるNPO法人空き家再生プロジェクト(空きP)の活動は素敵です。

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1974年生まれの豊田さんは尾道生まれの尾道育ち。大学を卒業後、旅行代理店のツアーコンダクターとしてヨーロッパのまちなみに触れる中で、尾道のポテンシャルを再認識されたそうです。「誰もやっていない。やらないと」という気持ちで、小さい子どもがいる中、一人で空き家再生の活動を始めます。

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話を聞かせて下さったのは新田五郎さん。尾道市出身。関西の大学院に行きながら空きPの活動を手伝う。今では専属のスタッフとして空き家バンクなどを担当

「代表は主婦なので、損得を考えずに採算度外視で出来た」と話す新田さん。2007年に通称ガウディハウスを個人で購入されます。

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新田さんとガウディハウス
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一人の大工が3年かけて建てたという

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その後、2008年に法人格を取得。2009年には尾道市から「空き家バンク」を事業委託します。現在、年間180万円ほどの委託金で、空き家を見に行き、図面・写真を撮って管理をされたり、利用者の電話対応や受付・HPの更新などをされています。

2012年には商店街にゲストハウス『あなごのねどこ』(自分達でDIY)、2016年にゲストハウス『みはらし亭』(プロが改修)をオープン。現在はゲストハウスの営業からの収入が全体の7割だそうです。

お話をお聞きして、市から事業委託を受けながらも、独自に空き家を再生して経済的にも持続可能にしている点が凄い、と思いました。

あなごのねどこ

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商店街にある『あなごのねどこ』
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尾道在住のつるけんたろうさんがデザインしたベッド

みはらし亭

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千光寺下に2016年4月にオープン
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とってもオシャレな内装

生活圏内で面白い人たちが繋がる暮らし

今回、尾道に初めて行って感じたことは、「きっとここに移住してきた人たちの暮らしは面白いだろうな」という予感です。尾道空き家再生プロジェクトは8年間の活動によって、その移住希望者の数は急増しているそうです(約760人の移住希望者が待つ、尾道空き家バンクの成功)。

新規移住者が増えて、新たなコミュニティが形成。面白い人たちが面白い活動をしていると、それに引き寄せられて、さらに面白い人達が集まってくる。しかも、それがネット上ではなく生活圏内に集まっている

今、生野区を考えた時に、確かに面白い人達が繋がり始めています。よく考えてみれば中には、既に空き家を改修して、生野暮らし(職住が近接した暮らし方)をしている移住者も多いです。

尾道のプロジェクトのように、生野区も生活圏内で繋がり合って、面白い界隈になる可能性はある。せっかく住んでいるのだから、面白い地域になったらいいな。まずは、自分の空き家から改修して行こう!

そんなことを考えた尾道視察でした。一日運転をして下さった木村貴一さん、ありがとうございました。

投稿者:

橋爪大輔

1985年生まれ