最初からガチガチに【 計画 】されていると、その瞬間に生まれてくる「アイデア」や「閃き」が育つ隙間は無くなりやすい。

一方で、何も決まっていない【 無計画 】の度が過ぎると、ゴールが見えにくくなり、目標を達成する前にプロジェクトは霧散する可能性がある。

だから、計画と無計画とのあいだに生まれる丁度いい【 遊び 】のエリアが「広い」か「狭いか」によって、そこに関わる一人一人の自主性は自ずと変化するはずだ。

そして、ぼく自身は極めて「無計画」に近いエリアで物事に取り組むことを愛している。そのほうが、現場でワクワクするし、物事がダイナミックに立ち上がり、熱を持って膨らんでいく感じがするからだ。

そういう意味でも、昨日、開催された木山直子(もくざんなおこ)さんの講演会は面白い取り組みだった。

木山直子さんの初公演を西宮北口で開催

今回、主催としてこのイベントに関わったのだけれども、お客さんを募集する時に「観客」だけでなく「スタッフになれる権利」を有料で販売した。

ぼくの中では初めての実験だ。

結果、四人の方が購入してくれたので、当日はリハーサルが始まる13時に合わせて、スタッフの方々は現場に入ってもらった。

13時の時点では、その四人に決まった「やること」は用意されていなかった。

もちろん、漠然と「受付をしてもらおう」とか「写真撮影をしてもらおう」みたいなことを考えたりはしていた。しかし、事前に役割分担して、意思疎通して、みたいなやりとりはしていない。

プロジェクトの規模が大きくなってきたら、そういう行為は必要だろうが、今回に関しては即興的にコミュニケーションを取った方が面白いはずだ。

・・・と、文章には書いてあるが、そこまで何も考えずに当日を迎えている。というか、ぼくは大体においてそんな感じだ。当日を迎えるまで、殆ど何も考えていない。

しかし、その日を振り返ると結果的に必然の流れが起こり、必然の行動をとっていた、みたいなことはよくある。

例えば、昨日に関しては、何故か全身黒い服を着た。

ぼくは普段、上は白い服を着る、と決めて毎日同じ服を着続けているから、そんな変わった行動を取るのは多分一年ぶりぐらい。

右下に座っているのが全身黒の橋爪大輔

最初は「今日は特に出番もないし、半分、プライベートみたいな感じだから、いつもと雰囲気を変えて、そういえば一度も着ていない服があったなー」みたいな軽い気持ちで黒のワントーンを選んだ。

結果、ぼくは13時ごろから猛烈に「演出」「舞台監督」ポジションのスイッチが入り、バリバリとスタッフの方に指示を出させてもらい、裏方のトップの役割を担っていた。

裏方といえば黒。ピッタリの結末になった。・・・とまあ、話がズレてきたので本筋に戻すと。

13時の時点で、有料スタッフの方々に決まった役割は無かったのだけれど、リハが始まると次々に「人手が欲しいタイミング」が訪れた。

例えば、開場中のBGMから開演のBGMに切り替える「音響」さんのような役割。

本番中に「あ、このタイミングでもう少し照明を暗くしたいな」と思いついたので、会場の明かりを消す「照明」さんのような役割。

舞台上の演出で、椅子を出したり、譜面台をハケたりする人・・・などなど。

もちろん、こういうことを専門で仕事にしているプロの人達もいるんだけど、それとはまた別の世界の話で。

BBQでお肉を焼くように、皆で「舞台を作り上げる」というのは極上のエンタメになる。そんなことを昨日は確信した。

その瞬間の雰囲気と文脈で、一人一人がジャズのセッションをするように関わりあう。

そこに必要なのは「やりたい」「関わりたい」という想いだけだ。技術は関係ない。そして、上手いか下手か、キチンとやれるかも些細なことだ。

想いがあれば、熱は混ざり合い、気温が上がり、そこに生まれた粒子は拡散する。

その瞬間にしか生まれない熱をいかにキャッチして、温め、伝播させるか。ぼくはそんなことを現場でやっている時に生き甲斐を感じている。

どこまでも現場が好きだ。

2021.08.30