「結局、君は誰のことも信じていない。相手のことも自分のことも」

ぼくは2020年からギターを弾いて歌を歌い始めた。

もちろん、中学生の頃に19(ジューク)やゆずに憧れて弾き語りは始めている。でも、初心者に毛が生えた程度だし、難しいコードは今でも弾けない。

高校の卒業祝いをお婆ちゃんからもらうと、翌日、鈴鹿の島村楽器に行き、アコースティックギター(Martin D-1)を買って親に怒られた。

そのMartinが10数年経った今も自分の手元にある。すぐにものを捨ててしまう自分が何かをこれだけずっと所有しているのは奇跡に近い。

ただし、そばに置いてあるだけで、殆ど弾いてはいなかった。「飾り」としてギターを自宅の壁にかけている程度。

それが、二年前に「恥ずかしいけど弾き語りを皆の前でやっていきたい」と思うようになった。歌ってみたい。

なぜ恥ずかしいかというと、音程に自信がないからだ。

「でも、今年は(2020年当時)チャレンジしていきたい」

そんなことを正月に思い、さっそく1月に演劇の舞台を神戸で主催した時に、竹原ピストルのコピーを一曲だけ歌った。

その後、コロナウイルスがやってきて、一人ロックダウン状態になり、弾き語りなんてすっかり忘れていたのだけれど。

その自粛期間に紹介してもらって出会ったのが、インドのYouTuberのAkiko Spiritual。誕生日が同じということで親近感を感じてくれた。

「君は歌だよ。歌っている時の切ない気持ちや解放する気持ち、自分の感情を見つけてあげて」と当時、アドバイスをもらっている。

「自分の感情を見つける」

今ならその意味がよくわかる。

ただ、その時の自分は何もわかっていなかった。伝えてくれていることの意味を理解していなかったし、心をさらけ出して受け取れていなかった。

きっと生きること、生活をしていくことに必死だったのだろう。

それでも機会があるごとにメッセージを伝えて、励ましてくれたことに今、感謝の気持ちが自然と湧いてくる。

あの時の自分に関わってくれてありがとう。慈しみを注いでくれてありがとう。

「君は誰のことも信じていない。自分のことも」

2020年5月から、再びギターを弾いて歌を歌い始めた。最初はオンラインで。そして夏からはリアルでも。

東京、北海道、愛知、大阪、奈良、福岡、神奈川、兵庫、青森、広島、三重、熊本、佐賀、京都・・・各地で歌う機会に恵まれた。

歌うことで、少しずつ自分の心は癒され、歌うことで、少しずつ固まっていた感情は緩んでいった。

何より、歌うことで同じ感覚を共有出来る仲間と出会えた。

その出会いのおかげで、自分のことを本当の意味で信じられるようになったし、相手にも心を開けられるようになった。

もう何も恐れる必要はないのだと思う。自分が握りしめている抵抗は殆どない。

歌を通じて、表現を通じて、柔らかい心を思いっきり解放していきたい。