松下工作所・東大阪【ドキュメンタリー制作日記】

2019/02/08(金)

撮影初日。朝8時のラジオ体操から撮影開始。体操後、外にすぐに出て、道路掃除を7分間されていたことに驚く。自社の前だけでなく、他のお店の前のゴミまで拾われている。社長自ら拾い、20代の若手社員も一緒。社員の中では秋月さんが魅力的。服装などは若者らしく、ピアスもしているが、先輩社員の話をよく聞き、時に笑う。先輩の山本さんからも「センスがある」と認められている。社長は「礼儀がまだまだ」というが、まだ20歳。10年経てば、立派な男性になるだろう。先輩社員は若手を育てよう、という意思が感じられる。

さて、今日からDiorに納める製品の打ち合わせが始まっていた。また、山本さんは昼から心斎橋にあるクリスピークリームドーナツの会社に行き、内装を打ち合わせる、という。Diorもクリスピークリームドーナツも、有名ブランド。守秘義務があり、製品を作っていることを公表出来ないという。ぼくからすると勿体無い。松下工作所を知ってもらえる良い入り口になるのにな、と思う。

そんな中、女性社員の方が新聞でたまたま偶然、東華菜館の記事を見つけられた。ヴォーリズの作品で、京都にあり、日本最古のエレベーターがあるそうだ。社長も「このオーナーさんなら撮影させてくれるかも」とのこと。兆しを感じる。驚いたのは、社長が読書中の本。精神世界で有名なさとうみつろうさんの「神さまとのおしゃべり」がデスクに置いてあった。ぼくの現在のメイン活動のフィールドに、社長も知識がある。これは来るべくしてここに来たな、という気がしている。

02/09(土)

昨日は昼からは社長と布施のハローワークへ。東大阪ものづくり企業の合同面接会が開催されていたのを見学。なんだか「淀んだ」空気を感じる。雇用する側も就職する側も役所も、もっと明るい雰囲気で取り組んだらいいのになあ、と思う。それだけ「就職」は繊細な場面なのだろう。社長とも話していたけど、求人票を見ても数字的なことしか伝わってこない。給料がいくら、とか、休日が何日ある、とか。そういう数字的なものを見て就職するから「現実はこんなのではなかった」となり、三年以内に殆どの人が辞めていくのだろう。

今回、制作するドキュメンタリーは、松下工作所のリアルが伝わるような、そういう作品を創りたい。一発勝負。そこにどれぐらい想いを載せられるかで、ぼくの今後の展開も変わってくるし、動画を創る技術も変わってくる。勝負の動画になることは間違いない。

今、近鉄電車に乗りながらこの日記を書いている。電車に乗りながら昨日の映像を見直した。作品の序盤は「松下工作所の一日」をテンポ良く見せることで、ここで働く若者に「疑似・職場体験」をしてもらったらどうか、というアイデアが出てきた。

その後、中盤では秋月さんにスポットをあてて、物語を紡ぐか。あるいは違う方向に流れるか。今日の撮影で兆しを掴んでいきたい。

※ 目黒さんより

本日も撮影ご苦労様です。率直な感想ありがとうございます。ハローワークに行かれてすごく感じられた思います。これが今の現実です。そんな中、中小企業は知名度が低く、給料もめちゃめちゃよくない、環境も大企業と比べると決してよくない、これも現実です。でも、イキイキと働き、夢に向かって一丸となって進む小さな会社がたくさんあります。そんな会社を発展させ、事業承継していくお手伝いをしたいというのが、私の想いです。ちゃんとしている会社は、いろんな設立の背景がありますが、理念をしっかり持ち、社員の家族を守り、地域、社会に貢献するという志を持っています。その想いや社員がイキイキしているところや少しダークの部分をリアルに伝えるものを作っていただけると幸いです。引き続き、よろしくお願いします。

2/9 18:10

二日目の撮影が終了。13:00から撮影を始めて、すぐに作品の「核」となる会話が撮れたように思う。後ほど、ラッシュを観て、そこで何が喋られていたかを確認する。山本さんとお客さんとの会話の中から物語を進める上で重要な「台詞」がいくつか収録出来た。

物語の一つの筋は「若手育成」だと認識する。そして、一階の工場は若手が自分の技術と感覚で作業している、という印象が伝わってきていた。二階の事務所は先輩が未来に繋がるように打ち合わせ等をしている。同じ会社だけど一階と二階で空気感が違い、そのそれぞれにそれぞれのエネルギーが渦巻いている、という感じがあった。

山本さんの人間臭さが観察していて面白いなあと思った。それに比べると社長は穏やか。良いバランスだなと感じる。

昨日と今日の二日間で作品の構造となる基礎部分は撮れたように思う。次回はパソコンを持っていって、会社内で編集をしながら、会社の空気と同調する。そして「撮りたい」と思った時に撮る。そんなスタイルで三日目を過ごそうと思った。

02/10(日)

編集初日。

5時間ぐらいかけて6分49秒の尺に纏まる。松下工作所の日常の雰囲気や、先輩社員が若手に対して、どういう想いを抱いているか、がわかりやすく伝えられているのではないか、と思う。

これを前半部分として、後半は現場での撮影、そして、最後は社長のインタビューで動画を締めたい。

タイトル候補は「先輩を超えていけ。」これをYouTubeで公開するだけでなく、デザインに優れたチラシを自ら作り、直接、高校の就職課に持っていくことで、求人を増やしてはどうか?というアイデアも思いつく。

02/14(木)

撮影三日目。

9:00過ぎに事務所に行き、社長に二日間までの編集された動画を見てもらったところ「これを見た若手社員はどう思うだろうか?」というご意見を頂く。確かに秋月さんに焦点が偏りすぎている。上村さんなどの若手にも焦点を充てることで、多様な価値観を表現してみよう、と思い始める。

京都の東華菜館の撮影はNGが出た。ということは、外に撮影対象を拡げるのではなく、一階の工場と二階の事務所を深く狭く観察していきなさい、という流れなのだろう。

昼過ぎから社長が平野高校で高校生に向けて「キャリア教育」の話をしに行く、ということで同伴する。授業で社長が話している場面も撮影することに成功。これで、間接的に「社長インタビュー」を収録することが出来た。改めて見直して、社長の言葉に耳を傾けることで、松下工作所の物語を浮かび上がらせたい。