佐藤 幸代
さとう さちよ / 1962年生まれ、三重県四日市市で誕生。22歳で結婚、一女一男の母。子供が保育園、小学校に入学したタイミングでパート勤務。24年勤めた会社を退職し、1年前から野菜づくりを始める。
三重県の亀山市で一年前の2021年から畑を始めました。
主人のお手伝いで、五年前まで米作りをしていたことはあります。でも、その後は、畑も田んぼも何もしない生活をしていました。
一年前に仕事を辞めたのをきっかけに、目の前に広大な畑があったのもあり、段々と興味が湧いてきて「ゼロから畑を始めてみよう」と思いました。

自分たちが安心出来るものを食べたいと思ったのがきっかけ
最初は「シェア畑」や「貸し畑」にしようと考えてたんやけど、自分で野菜を作ってみたいと思うようになった。
そのきっかけは、家族や、これから生まれてくる孫の健康を願った時に「安心出来るものを食べさせたい」と思ったのがきっかけ。
それなら、まずは自分が安心出来る野菜を作ろうと。
一年目の去年は知識が無かったから、オクラが「樹(き)ボケ」って言って、大きくなりすぎて「子孫を残さなくていいじゃん」みたいになってしまって。
花も最初はそんなにつかなかったけど、しばらくほかっといたら、急につきだして!
「あんまり構いすぎてもダメやなあ」っていうのが勉強になった。

「もっと美味しいのを」っていう思いが強くなってきた
本当に農業っていうのは、日々、色んなことを感じる。
最初の成長段階で大きくなりすぎてしまったら、そんなに実はつかないんやなあ(樹ボケ)っていう事を学んだ。
じゃあ今度はどういう肥料をやったらいいんかな?とか。
夏野菜は日々、沢山採れてきとるんやけど、やっぱり、作れば作るほど、もっと美味しい野菜作りにこだわりたいなっていう思いが強くなってきている。

野菜は素直に味に差が出る
毎日毎日、収穫したら生で、茄子からきゅうりから、ピーマンまで、全部食べてみるんやけど。
「ちょっと肥料切れしてきたな」とか判ったり、あと「あれぐらいの雨の量やったら、水を足したらなあかん」とか「有機でも今年はこういう肥料を使ってみよう」とか。
細かいところまで言いだしたら、野菜はすっごい素直に味に差が出てくる。
いつでもどんな時でも、ちゃんとしたものが作れる、っていうところまで、やっぱり私はやりたいなって思う。
欲張りかな。

やればやるほど、突き詰めたくなる
満足って、人それぞれ違うからね。
私のことを色々わかってもらえたら、そこは安心に繋がるよね。「あ、さっちゃんかあ!」ってね。それで、その後にくるのは、やっぱり味やね。
自分自身がほんとに自信持って「どうぞ!」っていうものが出来てくれば、これもう最高やんね。
(一年目にしてこんなに立派な野菜が沢山採れているのを目の前にして)ちょっと私もびっくりしてる!まさかね。
けど、お茄子はこんなもんじゃないです!
今から実をつけてきてるのが沢山あるから、まだまだ秋茄子ぐらいまで楽しめるって思ってる。

季節ごとに採れる「季節もの」を作る
今から作る秋野菜は、大根とか葉物も二年目になるから、去年よりもっともっと数を増やしてやっていこうかなあ。
何を作ろうかなあってリストアップしていこうと思ってる。
(ハウスやテントを使わない)路地でやっていくから、限られては来るけれど、季節ごとに採れる「季節もの」を作っていくっていう思いやね。
やっぱり人間てね、季節にできる野菜を食べていれば、栄養はだいたい摂れるらしいから、そこにこだわっていきたい。

時間を忘れてやれることって楽しいもんね!ありがたいことやね
なかなかさ、まぁ大変は大変やけど、こんなに真っ黒になって、泥まみれになって、汗で化粧は落ちていくねん。
でも、それが楽しいって思える。
畑におるとね、時間を忘れるわけよ。時間忘れてやれることって楽しいし、ありがたいことやね〜って思う。
土を触ってたら無になれるし、無になったら、いっぱい出てくるよね。「あ、こんなんしたい!」とか。
色んな目標ができてくるし、課題とかね。
そこはもう本当に楽しいよね!
なんにもなくってぼーっとしててもさ、一日過ぎていくんやけど、やっぱり課題ができたりってさ。うん、課題好きやねん(笑)
そういうことが楽しいの。
やることいっぱいやから。

美味しい野菜を売って利益を上げたい
もっと美味しい野菜をつくりたいっていうのが一番で、その後は、その野菜を対面販売で売っていきたい。出来れば、八百屋さんみたいなお店をやりたいっていうのがある。
言い出したらほんとにいっぱいあって…
ビジネスとしてもっともっと野菜を売って、それでお金をまわしたいなって思ってきてさ。
やっぱり、私は頑張って美味しい野菜を作って、それをちゃんとお金にしていかなあかんって思ってきた。
もっとビジネス脳ないのかぁ〜って思う(笑)まずは野菜を売って利益上げていきたい。

自分のやりたいことが見つかって良かった
今までは「やりたい」も「やりたくない」もなく、当たり前に勤めとったけど、やっぱり好きな、やりたいことしか私は続かない。
これからは「やりたい」「楽しいなあ」と思うことしか続かんような気がしてさ。
だから、今こうやって見つかったことに有難いって思うし、恵まれとるから、本当にもう感謝。そんな感じ!
スマホをポケットに入れてさ、音楽聞きながら一人で毎日やっとるのね。一人でニヤニヤしたり、小難しい顔したりしてるのが日常。

畑もやることが単調になってくるんだけど、たまに人が来てくれて笑いながら喋りながらできると楽しい。
いつでも来て。
インタビュアー:中村 啓子
写真:中川 真由美
編集:橋爪 大輔
制作:橋爪事務所
取材日:2022/07/23,08/18.08/23
